新しい工場建築が企業にもたらす変化とは

製造業の皆様が直面する大きな経営課題の一つが「人材確保」です。
工場の新築や移転において、見積もりや工期といった「建てるまで」に注目が集まりがちですが、投資の成否が本当に問われるのは「建てた後」の稼働状況です。
本連載では、当社が設計監理を担当した株式会社ジーアクト様の新工場を例に、設計の工夫が竣工後の「採用」「生産」「省エネ」「受注」にどのような効果をもたらしたのかをご紹介します。
第1回目は、多くの企業が悩む採用活動において、圧倒的な成果を生み出した「選ばれるための建築デザイン」と「働く環境づくり」について紐解きます。
既存工場が抱えていた課題と新工場への想い

ジーアクト様のこれまで30年以上にわたり稼働してきた既存工場では、建物の老朽化だけでなく、事業拡大に伴うスペース不足が慢性化していました。
機械設備が増設されるたびに通路や従業員の休憩スペースが削られ、食堂も簡素化、ロッカールームも快適とは言えない状態になっていました。安全性や作業効率の面だけでなく、従業員のモチベーションを保つ環境としても改善が急務でした。
そこで、「働く人がワクワクした人生を歩める場所にしたい」という強い想いのもと、新工場への移転プロジェクトがスタートしました。
「工場らしくない工場」を体現する、自然と調和する外観デザイン
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新工場の外観は、従来の無骨なイメージを払拭する「工場らしくない工場」をテーマに計画しました。
周辺の穏やかな自然環境と調和するアースカラーを基調としつつ、木目調の外壁材を斜めに構成。そこにコーポレートカラーであるライトグリーンを水平ラインとして取り入れ、企業ブランドを建築デザインとして明確に表現しています。
さらに、金属サイディングをランダムに貼り分けることで、時間帯や天候によって異なる表情を生み出し、単調になりがちな工場建築に豊かな変化を与えました。
2階にはテラスデッキを設け、建物全体に立体的なリズムと開放感をもたらしています。
外壁材選びが「脱炭素の証明」と営業力に直結

環境配慮は現在の製造業にとって不可欠です。
本計画では、木質繊維を原料に含む窯業系サイディングである、ニチハ「オフセットサイディング」を採用しました。
これにより「1,336 kg-CO2」のCO2固定量が証明書として発行されています。
外壁材の選定段階で対象製品を選ぶだけで、取引先へのCO2削減報告や補助金申請の根拠資料となり、企業の大きな営業材料として機能します。
広告費ゼロで求人応募数が10倍に!立地と認知の力

新工場のもたらした最も驚くべき変化は「採用力」です。
求人媒体の有料広告を一切使わず、採用条件も変えていないにもかかわらず、求人応募数が以前の10倍に急増しました。
この成功の裏には、「土地は広告として考える」という明確な立地戦略があります。
新工場は交通量の多い国道沿いに位置しており、通勤者や地域の方々の目に毎日触れます。
工事中から「綺麗な建物ができている、働いてみたい」と地域で話題になり、実際に入社した社員からも「事務所がとても綺麗で惹かれた」という声が上がっています。
認知されない立地では建物の魅力も埋もれてしまいますが、見られる場所で夜間のライティングまで計算して設計することで、
建築そのものが強力な「採用ツール」として機能したのです。
「ここで働きたい!」と思わせる、ワクワクするオフィス空間

「働く人がワクワクする場所」というコンセプトは、内部空間にも徹底されています。
事務室(オフィス)は、ナチュラルブラウンの木目とコーポレートカラーのグリーンを基調とし、心理的な負荷を和らげる居心地の良いカフェのような空間に仕上げました。
将来的なフリーアドレスへの移行も見据え、多様な働き方に対応できる柔軟性を持たせています。

また、新たに設けたカフェテリアは、単なる食事の場ではなく、簡単な打合せや来客対応にも使える多目的スペースです。
大きな窓から自然光を取り込み、外部とのつながりを感じられる空間は、従業員のリフレッシュと新しい発想を促します。
従業員の定着率を左右する、清潔で快適な更衣室とトイレ

▲ 更衣室(左:女性用、右:男性用)
工場建築の設計において、コストカットの対象になりやすいのが更衣室やトイレといったバックヤードですが、実はここが従業員満足度や定着率を大きく左右します。
前工場でのお悩みポイントであった更衣室は、男女それぞれの使いやすさに徹底的に配慮しました。
男性用にはポールハンガーを、女性用には洗面化粧台を完備し、女性も働きやすいクリーンな環境を整えています。

▲ 落ち着きのあるダークブラウンを基調としたトイレ
またトイレについても、ダークブラウンを基調としたスタイリッシュなデザインを採用し、プライベートなリフレッシュ空間として妥協なく設計しています。
現場を案内する社員が「堂々と自慢できる」空間をつくることが、採用活動の最後のひと押しにも繋がっています。
採用活動の最強の武器は「選ばれる建築」

採用難が叫ばれる製造業界において、働く環境の質はそのまま企業への応募数に直結します。
ジーアクト様の事例のように、「見られること」を意識した立地戦略と、工場らしくないデザイン性の高い外観、そして細部まで配慮された快適な空間は、それ自体が24時間働き続ける強力な求人広告となります。
大岡成光建築事務所では、工場を単なる作業場としてではなく、企業価値を視覚化し、採用力に直結する建築としてご提案いたします。

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▶ 株式会社ジーアクト HP|https://www.g-act.jp/
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